この森林環境学習の取り組みは森林環境税を活用して行われています。
高知県山の学習
山の学習事例集
テーマ   
ふるさとの山と川(水)を、人とのかかわりで考える
活動
ターゲット
森がもたらすゆたかな恵みを味わい、馬路の森を守ってきた林業の仕事とその歴史を体験や調査活動を通じて知り、ふるさとの自然を守るために自分たちができることを考え、行動化する態度を養う。
学校情報   
馬路(ウマジ)小学校
住所  :  〒781-6201 高知県安芸郡馬路村大字馬路502
TEL  :  0887-42-1008
第5学年 総合的な学習の時間

もりもりタイム『森は生きている』

1.単元目標
@馬路の森を守ってきた林業に携わる人の仕事や苦労を知ることができる。
A森林のもつ大切なはたらきについて学び、環境について考えることができる。
B観察や、体験活動を通して疑問に思ったことや、さらに調べたいと思ったことを追求することができる。
C調べたことや分かったこと、考えたことなどを工夫してまとめることができる。
D自分たちにできることは何かを考え、行動に移していこうとすることができる。

2.単元設定の理由
馬路村は、村全体の96%を森林で占め、古くから全国有数の木材の生産地として有名で、日本三大美林のひとつヤナセ杉の産地でもある。木材の運搬方法は、古くは牛に引かせ川を流すという方法であり、明治44年には森林鉄道に、大正10年には本格的な蒸気機関車によるものになった。その頃の馬路村は林業に携わる人が多く、たくさんの人が生活をしていたそうである。今の生活からはとうてい想像できるものではない。また、近年は外国からの安い木材が輸入され、木材価格の下落や木材需要減少による需要の低迷化、林業に携わる人の高齢化など木材産業には、様々な問題も出てきた。
5年生の子どもたちに聞いたところ、そのほとんどが馬路村に住みながら千本山に登ったことがなく、登ったことのある子どもはほんの数人だった。そこで、森林学習を千本山登山から始めることにした。千本山に登ることで、長い年月をかけて育ってきた杉の大木や山の空気、においなどから何かを感じることができるであろうと思ったからである。そして、山がなくなるとどうなるのか、山が元気でなくなるとどんな困ったことが起こるのかを学習することで、山の必要性について学んでいくことにした。また、山を守り育ててくれた先人の苦労があって今の馬路村があることにも気付かせていきたい。大自然の恵みを受けて育まれた天然のヤナセ杉を通して、森林の持つ大切なはたらきについても学び、環境学習へとつなげていきたい。 
本単元では、社会科、理科、国語科との関連を図りながら、自分たちが住んでいる馬路村の自然に視点を当てて学習を進めていくようにした。見る、聞く、考える、実際にやってみることをまとめる作業とからめ合わせながら、山を守る仕事や、山から切り出された木を運搬する仕事、加工し、製品化する仕事など、様々な木材産業に携わる人々の苦労や工夫、努力に気づかせるとともに、これからの馬路村をになっていく自分たちにできることは何かを考えさせたい。また、自分たちにできることを見つけ、積極的に行動することができるたくましい子どもに育てていきたい。

3.つけたい力 【キャリア教育の視点】
○山の仕事に携わる人々の仕事や苦労について知ることができる。【情報活用能力】
○観察や体験活動に意欲的に取り組むことができる。【将来設計能力】
○学習したことを自分なりに工夫してまとめることができる。【情報活用能力】
○自分の考えたことや分かったことを相手に分かりやすく伝えることができる。【人間関係形成能力】
○友だちの意見を聞いて、自分なりの意見や感想を持つことができる。【人間関係形成能力】
○自然環境をより良くしていくために自分たちができることを見つけ、実践することができる。【意志決定能力】




一学期
山と川のつながりを知ろう@
日にち 7月30日、31日
協力者 馬路小・中共催
交流キャンプ in 馬路村(社会教育事業に自主参加)(夏休み) チチブとり、湧き水探索等

二学期
森林の働きについて学ぼう@
日にち 9月29日
協力者 安芸森林管理署魚梁瀬事務所、馬路村森の案内人クラブ
千本山登山 〜自然散策、木の学習、野鳥観察〜
 「千本山登山で、森林を体感し、森の働きを知ろう」というめあてを持って千本山に登った。前日まで降り続いた雨がうそのように上がり青空が見えた。千本山の登山口ではお世話してくださる5名の方々が子どもたちを迎えてくださった。そこでは、安芸林業事務所の方から「千本山で学んでほしいこと」の話があった。いよいよ千本山登山の開始。つり橋を渡ってすぐのところに杉の巨木が見えた。この杉の周りの長さと同じ長さをロープで作った輪の中に入ってみるとなんと15人全員が入ってもまだ余裕があるくらいの大きさでびっくりした。子どもたちは、千本山の樹木や植物の観察や説明をしていただきながら山道を登った。
 千本山展望台に到着後、昼食をとってから「森のしくみ」の紙芝居や「森の働きについて」「林業の盛んなころの話」を聞いて学習をした。実際に自分の足で歩き、土の感触や流れる風の爽やかさや森の香りや鳥の声等を体いっぱいに感じ取る学習ができた。帰りのバスの窓からは、男鹿が河原に降りてきて水を飲む光景を目にすることができた。この千本山から子どもたちの森林学習がスタートできた。


〔みんなが入ってもまだ余裕〕
〔一本の木なのにどうして?〕


〔千本山展望台で記念写真〕


山の仕事を調べよう・体験しよう@
日にち 10月6日
協力者 馬路村役場産業建設課、馬路村林業青年クラブ
峠山間伐体験 〜間伐体験、間伐した森と間伐していない森の比較〜
 「森林のはたらき」について坂田さんに教えていただいた。森林があることで、おいしい水が飲めることや、災害を防いでくれること、空気がきれいになること、動物の住みかにもなることなど。子どもたちに分かりやすいようにパソコンを使ってスクリーンに移して話をしてくださった。
 また、間伐が必要な訳についても話があった。子どもたちは、その一つ一つにうなずきながらメモを取りながら話に聞き入っていた。
 いよいよ間伐体験に出発。車4台に乗り込んで峠山に向かって出発。最初は舗装されていた道が山の中に入っていくにしたがって、がたがたの山道を行くようになった。間伐する場所に着くと、間伐の手順や、気をつけることについての説明があった。
 その後、子どもたちは3つの班に分かれて山の中へ入っていった。気が付くと班に分かれて移動していった子どもたちの姿は見えず、しばらくすると木が倒れる音と子どもたちの歓声が山にこだまして聞こえた。のこぎりの扱いも時間と共に上手になり、友達に木を押してもらって、のこぎりを使いやすくするなどの工夫も見られるようになった。最近では、チェーンソーを使っているが、昔の人は、間伐だけでなく商品にする木もこのようにのこぎりを使って一本一本を切り出していたことに気が付いた子供たちは、昔の人の労働の大切さにも気が付いたようであった。
 間伐をすると、森に光が差し込んで明るくなったことを実感して感動した。光が差し込むことで、下草が育ちやすくなることや、地面がジメジメせず、爽やかな風が通ることも体感できた。元気な山にするためには、間伐が必要だということが子どもたちに分かった活動であった。
 よく見ると、小さな杉の芽が出ていた。自然に落ちた種から出た芽に感動した。




〔そうそう、うまくなってきたぞ〕


林材加工場、エコアス馬路村見学 〜村内の林業関係施設の見学(伐採された木が加工される過程を調べよう)〜
 山から切り出された木は、奈半利町や、高知市へトラックで運ばれる他、村内で加工されるものもあった。そこで、林材加工場とエコアス見学することにした。
 林材加工場に着いて見学をしていると、たくさんの杉を積んだ馬路運送のトラックが来た。トラックに積んでいる木を降ろすというのでどのように降ろすのか見せてもらった。すると、ワイヤーのようなものが外れたかと思うとトラックは斜めに傾き、ものすごい音を立てて一瞬にして木を全て降ろした。この降ろし方にはみんなびっくりした。
 林材加工場では、機械で木を規格選別しているところを見せてもらった。その後、加工する工程も見せてもらった。
 エコアスでは、トレーやモナッカバックを作る様子を見せてもらった。細い木を寄せて固めて模様を作りそれを薄い一枚の板にする作業に子どもたちは見入っていた。馬路村をブランド化しようとする取り組みを聞いて子どもたちは感激していた。


〔一瞬にして木が降ろされてびっくり〕
〔まるで紙のような薄さ〕

山と川のつながりを知ろうA
日にち 11月14日
協力者 東部福祉保険所(いのちキラキラ応援事業)
水質調査(エコ学くん教室)


森林の働きについて学ぼうA
日にち 11月11日
協力者 安芸森林管理署、高知県森と緑の会
子ども森林発表会(高知山の日関連事業)
 こども四国山の日発表会に5年生、6年生が参加した。発表は、5年生の2名が今までの体験を山、川、海のつながりで発表をした。こどもたちは、自分たちと同じように森林から学ぶ学習をしている他の学校の取り組みを興味深そうに聞いていた。こんなこともできるんだと、これからの学習にも参考になることが多くあった。各校の取り組みの発表が終わると意見や感想、質問などをする時間が設けられたが、どの学校の取り組みに対しても感想を言うことができた。発表の中で、こどもたちが特に気を引かれたのは四万十高校の発表で、その発表の中に出てきた屋久杉を実際に見てみたいという思いが強くなった。

月見山森林学習(流水実験、スポンジ実験)
保水力を高めるためにはどのような手入れが必要か?ということについて学習した。
 この日はあいにくの雨だったが、月見山こどもの森に作っていただいた模型を使って実験をした。木が元気に育っている山に雨を降らせるとどうなるのか?木がない山ではどうか?落ち葉も山にとっては大切なものだということも分かった。
 山から湧き出てきたきれいな水は、私たちが生活していくうちに汚れてはいないか?魚や生き物も生きていけるきれいな水であるのかを調べた。
 洗剤やラーメンの残り汁でも川の水が汚れることを知り、水の使いすぎにも気をつけてきれいな川を守るようにしようという感想がこの学習の終わりには聞かれた。



〔木がある斜面は水をしみこませた〕
〔土だけの斜面は水が斜面上を流れた〕
〔山の土と普通の土の水のしみ方〕
森の恵みを感じよう・味わおう@
日にち 11月13日
協力者 馬路村森の案内人クラブ、安芸森林管理署魚梁瀬事務所
西又山登山(自然散策、木の学習、動物観察)

森の恵みを感じよう・味わおうA
日にち 11月22日、12月1日
協力者 馬路村工芸センター(講師:甫木伸次郎)
木の工作
杉の美しい木目を生かして、「杉の短冊掛け」を焼き板にして作った。作り方は馬路村の木工名人の甫木さんに教えて頂いた。その短冊掛けに「森の俳句」を詠んで飾ることにした。


〔磨くのは木目にそってだよ〕


山の仕事を調べよう・体験しようA
日にち 12月15日
協力者 馬路地区の人々(昭和30年〜40年にかけて営林署で働いていた)

 -昔の馬路の森や林業について話を聞こう
 -昔の馬路の森や林業について聞き取りをしよう
千本山の歴史や林業が盛んだったころの様子について調べたり聞き取り調査を行った。今、馬路村は柚子で有名な村になっているが、明治時代から昭和30年代頃は林業が村の産業を支えていたことに驚きを感じた様子だった。家族の誰かが山に関わる仕事に従事し、村には人があふれ、映画館や商店もたくさん立ち並ぶ村であったことを知る。関心は交通機関にも及び、森林鉄道についても調べた。林業が盛んだった頃の馬路村を調べる中で人々の暮らしぶりや生活、その頃の川の様子についても調べ、まとめ学習へとつなげていった。


三学期
森の恵みを感じよう・味わおうB
日にち 2月5日
協力者 安芸市奈比賀地区の方
ドングリを集める
→ 殻をむいて蓄える
〜調理:樫豆腐を作ろう〜
安芸市東川で古くから作られている「樫豆腐」を作って食べてみようということで、10月中旬からみんなでドングリを拾い始めた。12月に入ると洗いおけに山盛りいっぱいのドングリが集まり、みんなで殻を割って樫豆腐作りの準備をした。樫豆腐作りは一日先生の日に行った。そのお味は・・・。


〔沢山集まったね〕
〔お味はいかが?〕


学んだことを地域へ発信しよう(馬路小学校ひな祭り発表会(学習発表会)へお世話になった方を招いて)
日にち 3月3日
今までに学んできたことを模造紙にまとめたり紙芝居にして、ひな祭り発表会で発表した。みんなに興味を持ってみてもらおうと発表劇「森は生きている」にした。もちろん山の妖精ホレストマンも登場した。年輪クイズでは、みんなに知ってもらいたいことをクイズにして答えてもらった。この発表で森林が私たちの生活にとってどれだけ大切なものかを伝えた。


〔フォレストマン登場!〕
〔木がない山に雨が降ると…〕

山の仕事を調べよう・体験しようB
日にち 3月7日
協力者 馬路村役場産業建設課、馬路村林業青年クラブ
植林をしよう(馬路温泉周辺)
 森林学習をすすめていくと、木を切って使うだけではいけない。切った分、木を植えなければ今の環境を保っていくことができないことが分かり植林をしようという思いが強くなった。さっそく相談をしてみたところ、馬路温泉近くに20本の木を植林する計画があることを知り、子供たちにその植林をさせてもらえるようにお願いした。植えた木は、コナラ、イロハモミジ、イタヤカエデの3種類で、保護者にお願いして作ってもらった木に、未来の自分に宛てたメッセージを書いて、その近くに立てた。
 みんなが大きくなって馬路村を出ることになってもこの木の生長を見に来られるように。


〔しっかり育つかな?〕
〔大きくなりよ〕


〔この木の生長とともにみんなも大きくなあれ!〕





活動の成果
まとめ
9月からはじめた森林学習は3月7日の植林までの長い時間をかけた学習となった。その間にたくさんの人たちに協力をしていただき、子どもたちは豊かな学習を展開することができた。体験学習、実験、聞き取り調査、調べ学習、他の学校の取り組みに学ぶ学習など本当にたくさんの学習をする機会を持つことができた。子どもたちは、この森林学習を通して様々なことに気づき、沢山のことを考え、これからどのようにしていったらいいのかについても、しっかりとした考えを持つことができるようになってきた。環境についても自ら疑問を持ち、日々の生活の中でも気を付けていこう、気にかけていこうとする行動や言動も見られるようになってきた。長い時間をかけて学習したことで、ゆっくりと考え、学習した場面に生活の中で出会うことにより、学習したことが子どもたちの中にしみこんでいったように思われる。これからを担うこどもたちにとって大変有意義な学習ができたのではないかと思われる。これからもしっかりとした目で自然を環境をみつめ行動できる人になっていってもらいたいと願う。




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