代表の野中耕司さん

カランコロン

展示されている商品

引き車カタカタ

あひる工房
高知市神田2402-5
TEL 
088-833-7568
FAX 088-833-7568

 木製おもちゃや家具を製造・販売している「あひる工房」。代表者の野中耕司さんは、おもちゃ職人というよりむしろ教師に近い雰囲気を持っている。子育てや教育に並々ならぬ熱意があり、生徒指導員や少年ソフトボールチームの監督などさまざまなボランティアの肩書きを持つ。

 良いおもちゃをつくるには子供の成長や発達について深く知る必要があると感じた野中さんは、木工技術を習得するだけでなく、子育てや教育の勉強を始めた。そしていつの間にか、客から子育てのアドバイスを求められるほどになったという。話題が子育てに及ぶと、商売そっちのけになって、ひとりの客と半日も話し込むこともある。

 おもちゃは子供の成長、発達の手助けにならなければいけないもの、ならば良い品質のものをできるだけ安くつくってこそ意味があると野中さんは考えている。

 野中さんが考える“良いおもちゃ”とはいかなるものか。子供の発育には五感(視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚)を刺激することが欠かせないが、たとえば天井からぶら下げて鳴らす「カランコロン」(高知県木のものデザインコンクール優良賞受賞、2,200円)が奏でる音はとても心地よく、おそらくどんな幼児も気に入るだろう。だがこのきれいな音が出る材質を見つけるだけでも2年を要したと聞けば、木製おもちゃの難しさと奥深さに感嘆するしかない。

 また、どう見てもプロデザイナーの作品にしか見えないくまやうさぎなどのかわいいデザイン。「実は、私のデザインなんです」と少し照れながら話す野中さん。子供がかわいいと感じるデザインについてもかなり考え、試行錯誤を繰り返してきたという。「引き車カタカタ」(3,200円)と名づけられたおもちゃはかわいいだけでなく動きにも意外性がある。以前に取材で訪れた漫画家のはらたいらさんは、最後までこのおもちゃを動かして遊んでいたそうだ。

 そしてもうひとつのポイントである安さ。広告宣伝費を一切かけないことや会社の規模を拡大しないことなど安くするための工夫は欠かせないが、最大のポイントは材料のまとめ買い。今から約20年前、野中さんは県北部の営林署からおもちゃづくりに適した40tもの桜を購入した。そして、その当時の購入価格から原価をはじき、現在のおもちゃの販売価格を決めているのだ。「今の木の値段から売値を決めるとどうしても高くなる。買いつけた木が無くなるまではこの値段で売る」と、安さを崩さない。

 「向き合って販売するからこそ客も安心する」とあくまで対面販売にこだわる野中さん。真摯にお客と向き合う姿に、人は心を動かされるのだろう。一風変わった木工所「あひる工房」、一度足を運ぶとその良さがわかるはずだ。

 
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