「ひのき枕」の魅力は、何といっても心和む清涼な「香り」。かすかな木漏れ日、心地よいそよ風、樹木や葉のすれる音、小鳥のさえずり・・・、幼い頃に遊んだ森を想い出す香りだ。ヒノキ(桧)にはまた抗菌性・防虫性・消臭性・調湿性があり、建築材として優れているだけでなく、昔からさまざまな用途に活かされてきた歴史がある。

 清流四万十川の源流の郷、中土佐町(旧大野見村)育ちの四万十ヒノキを原料に使用した「ひのき枕」を製造販売しているのが「ひのき屋」だ。

 「ひのき屋」の枕には、2つの大きな特徴がある。まず、ヒノキ材でも白太(辺材)部分は脆く粉やトゲになりやすいので避け、油分の多い赤身の「心材ヒノキ」を90%以上使用していることである。これにより、丈夫で安全な芳しい香りのチップとなる。2つ目の特徴は、特殊な加工法でカットしたヒノキ材を厳しく選別することで、「ひのき屋」オリジナルの細かく均質で肌あたりのやさしいチップを実現したことである(大手寝具メーカーへも原料供給している)。またヒノキ材だけでなく北海道産そば殻や、土佐の炭玉「ネオコール」など、ブレンドする素材にもこだわりを持っている。

 これまでのヒノキ枕材にはない均一な感触の小粒ヒノキを生み出すのは容易ではない。「ひのき屋」が、既成のチップ加工機械に独自の工夫をプラスして試行錯誤の末にできたものである。機械試運転の日、半信半疑のまま加工機械製造に関わったメーカーの人たちが見守る中、機械から噴水のように吹き上げる小粒チップを手のひらに受けたときは涙が止まらなかったという代表の徳岡桃子さん。「数々の失敗はすべて確かな“ものづくり”への原動力となります」とさわやかに語る。

 また、入浴材としても人気のある100%天然ヒノキ香油「四万十ひのきOIL」も一味違う。通常ヒノキ精油は木材から抽出するが、「ひのき屋」の精油はヒノキの葉から抽出し、1〜2年の間熟成、香油化して出荷するというこだわり。このヒノキ香油を原料とした消臭芳香材「ノスタルジア」も好評とのことだ。

 今では、賑やかな大漁旗や土佐フラフで作った割烹着を身にまとい、スーパーや県外デパートでの販売にも携わるという徳岡さん。年間の半分は出張という忙しさだが、それをむしろ楽しんでいる元気印だ。

 かつて大学で美術の講師を務めたこともあり、高知県展の県展大賞を受賞した経歴を持つ徳岡さんの秀逸なデザインセンスに魅入られた客も多く、枕カバーの生地でバックを作って欲しいという要望もあるそうだ。

 「土佐の山々から発信できる『象(かたち)』をつくりたい」と語る徳岡さん。間伐材を有効利用した商品を製造販売することで、未来に遺すべき豊かで健全な森を守るために少しでも応援できるのではと考えているのだ。


代表の徳岡桃子さん

総ひのき「花だんご枕」

ヒノキ葉100%天然香油
「四万十ひのきOIL」
ひのき屋
高知市福井町1027-19

TEL
 088-871-0911
FAX
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