創立昭和26年。高知市朝倉に会社を構える「井筒屋」は、病院や学校などの公共施設向けの家具全般を扱う老舗家具店である。それがひょんなことから子ども向けの積み木づくりを始めることになる。これがいま秘かに注目を集めているのだ。
積み木づくりのきっかけは4年前。筒井政彦さん(井筒屋社長)が所属する高知東ライオンズクラブの結成20周年記念にあわせて、高知県下の幼稚園や保育園に何かを寄贈することが決まった。企画からすべてを任された筒井さんは、さっそくおもちゃの本場ドイツを視察。カラフルに彩られた素晴らしい木製おもちゃを前にした筒井さんは、自社の技術を一番生かせるのは積み木だ、との思いを強くしたそうだ。そして帰国後さっそくドイツから取り寄せた木材「ドイツビーチ」を使って積み木を製作。贈呈式に列席していた橋本知事から、高知県産の間伐材を使ってはどうかとの提案を受けたことから県産ヒノキを使った積み木が生まれた。県下の保育園に配ると評判は上々で、園児の保護者からの注文も多くじわじわ広がり始めたという。
この積み木、色は無垢の木そのままで、形や大きさも市販されている普通の積み木と一見大差はない。だが子供にこの積み木を渡すと手放さないという。精度が良いので手触りよく、完成度が非常に高いのだ。それもそのはず、井筒屋で家具を作っている一流の家具職人が丹精込めて作ったぜいたくな積み木なのだ。
積み木の商品名は「Wood Cubes」(税込3,000円〜)。子供のみならず親たちも驚くのは、大人の身長より高く積み上げられること。いかに精度が良いかが分かろうというものだ。普通の積み木は1つひとつの大きさが微妙に異なっているため、あまり高く積み上げることができない。子どもも親も、積み木とはその程度のものだと思っているから、「Wood Cubes」に歓声を上げる。この精度をもった積み木は今のところ他にはないというから、これは本物である。
2004年、四国経済産業局が主催する四国デザインプロジェクト「四国×DESIGN+d」に高知県代表として井筒屋が選ばれた。特徴ある素材や優れた技術を生かして新しい価値を生み出そうとプロデューサー、デザイナー、メーカーの三社が共同で商品開発する企画だ。この結果できたのが「HUMAN BLOCKS」(税込9,450円)と名付けられた木製の人型ブロック。サッカーやランニングする人などをイメージしてつくられたもので、どのように組み合わせてもぴたりと接合する。ここに井筒屋の積み木づくりの卓越した技術が生かされたのだ。さまざまな皮膚の色をした人びとが互いに手を取り合って平和に暮らせるようにとの思いを込めて色の違う6種類の木材で作られた「HUMAN BLOCKS」。
見事なコラボレーションと言えよう。「これからも、子供が遊ぶものでも最高の商品を作りたい」と言う筒井さん。一流家具職人がつくる次のアイテムが、楽しみである。
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