「あなたの会社のセールスポイントは何ですか?」
そう訊ねられたら、あなたならどう答えるだろうか。
「社員です。ウチの社員は心が“ぬくい”んですよ」と、胸に手を当てて語るのは池川木材工業(有)の企画・営業担当、大原裕子さん。現会長・大原儀郎さんの愛娘でもある裕子さんによると、「心が温かい人」の傍にいると確かに温かみを感じるが、その場を離れるとそれは消えてしまう。一方「心が“ぬくい”人」と話をしていてもはっきりとした温かみは感じないものの、後からジワリと温かみが感じられるという。同社の木工製品から感じられる不思議な温かみには、ちゃんと理由があるということだ。
池川町内の山師仲間や製材業者などから求められて、大原儀郎さんが経営不振に陥った下駄製造会社を引き継いだのが昭和50年代。そのときに現在の社名に変更して、スノコやまな板、サンダルなど下駄以外の商品開発や販路開拓を積極的に行ってきた。今ではスノコや建築材などの主力製品の他に、ヒノキ風呂や湯桶、風呂椅子などのバス用品、そして縁台や濡縁、木箱、棚など多種多様な商品を全国のホームセンターなどで販売する、高知県を代表する木工会社に成長した。たとえばヒノキのスノコひとつとっても、販売量で国内シェアの20%以上を占めるというから驚きだ。
また県産材をベトナムに輸送して現地の協力会社に製造委託する一方、ベトナムから研修生を受け入れるなどの国際交流も積極的に行っている。さらに環境への配慮と“もったいない”の意識から、2006年に日本で初めてとなるオーストラリア製の木質バイオマス乾燥システムを導入。作業工程で発生する木屑などを燃料にするもので、灰も近くの農家に引き取ってもらい、ゴミゼロを実現している。
池川木材工業は新商品開発にも意欲的だ。最近でも部屋の隙間を上手に利用できる「チビ棚」や、木材の丸みを生かした水切れ抜群の「ドライスノコ」など痒いところに手の届く新商品を次々と開発して好評を得ているが、そんな中で、ひとつのユニークな商品が同社の工場から産声を上げたので紹介しよう。
ある日、木材から丸棒をつくる工程で偶然に生まれた凸凹に削られた板。この凸凹板を何かに生かせないかと考え出されたのが「桧バスマット」と「健康ボード(足裏マッサージ用)」だ。この上で足踏みすると、やや凸凹を感じる程度の軽い刺激だが、足を床に戻して少し経つと足の裏がジンジンして気持ちがいい。まさにこれは“あったかい”商品ではなく“ぬくい”商品なのだ。この凸凹板で作られた商品は「足裏快適シリーズ」として2007年春には市場に出回る予定だという。
“心がぬくい”職人たちがつくる“ぬくい”商品、これからも期待できそうだ。