「工場を運営する上では、利益も大事。だけどもっと大切なものがある」
そう熱く語るのは、大正町森林組合集成材工場の竹内將純工場長。この工場は、山から木を伐ってきて木材を売るだけではなく、木を育てながら山を守り、自然と人間が共生できる資源循環型を掲げている。
集成材の材料としては山に放置された間伐材のほか、端材も40センチもあれば使う。これより短い端材も木材乾燥機のバイオマス燃料となり、木をまったく無駄にしない。重油を焚いて乾燥させるより製造原価は上がるが、自分たちで木を育てて山を守り循環型社会の一翼を担っていくという自負があるからできるのだ。四万十ヒノキ(桧)で作られた集成材は主にフローリングなどの建築材のほか、テーブル(40,000円〜)や座卓(35,000円〜)、ヒノキ風呂など客のオーダー品として、全国に出荷されている。
木の難点は、暴れること。集成材は無垢材に比べて狂いは生じにくいが、それでも乾燥が不十分だと反りなどが出て商品価値は下がる。含水率のコントロールが難しいのだ。竹内さんはここにむしろ競争力のポイントがあると判断。高性能の乾燥機を導入し、あわせて高度な乾燥技術を試行錯誤の中から習得して見事な集成材製造法を確立した。「ここから出荷する製品は、まず反ったり割れたりしない」と、竹内さんは胸を張る。
かつて大正町森林組合は公共工事に依存していた。しかし時代はもはやそれを許してはくれなくなった。ぬるま湯体質からの脱却を目指して、集成材の生産を始めたのが平成元年。当初は建築材や机の天板として販売していたが、竹内さんは、これではあまり旨みがないと感じるようになる。椅子や机などに製品化して付加価値を付ければ、同じ量の集成材でも販売価格は2倍にも3倍にもなる。そうやって売り上げが伸びれば、捨て置かれていた間伐材の利用促進につながり、地域の雇用対策にもなる。頑張れば、皆が喜んでくれる。まったくいいことずくめではないか。
その竹内さんの発想力とたゆまぬ努力が、いま確実に成果をもたらしつつある。大手文具・オフィス家具メーカーのコクヨと共同で学習机を開発、また2006年7月には間伐材の利用促進を中心とした森林整備を進める「コクヨ―四万十・結の森プロジェクト」を始めた。生協とも取引しており、すでに同組合の高い集成材技術は全国区なのだ。
さて、これから大正町森林組合はどこに向かうのか。竹内さんの口からは次々と新しい計画が飛び出してくる。動物小屋を作ることを足掛かりにペット産業に進出、(社)高知県建築設計監理協会の建築家たちとのコラボレーションでデザイナーズ・ファニチャーを製造・販売、酒樽の形をした“大人の隠れ家”を売り出す等々…。大正町自慢の良材、四万十ヒノキのから生まれるユニークな新商品の数々が、いまから楽しみだ。